江本創 展
- 竜の眷族 2024 -
6 月 8 日 (土) - 25 日 (火) 13:00〜20:00
休廊: 水曜日、木曜日
江本 創 の作品
江本創の創造する生物は標本箱に入って既に息絶えていて、鑑賞者は世界のどこかに生息していたそれらの生き物の生態を決して知ることは無く、又、これらの生き物の調査のために世界中を探索する生物学者でさえ、その生態を垣間見たことは無いのです。
それゆえ、全ての標本は幻獣という総称で呼ばれます。
古来、洋の東西を問わず、実は存在しない筈が無いと人が信じる、神の創造物ではない神の使いは人の手で創作され可視化されました。
決して命が入らない偶像は人の想像力が架空の命を吹き込み創造の宇宙に飛び回ります。
それは龍であったり、ゴシック建築の教会のガーゴイル、あるいは羽を持つ白馬等々であったりとして世界中の人々の想像力が認知しています。
そして日本に目を向けると、神の使いは実在する動物でもあって、牛、馬、鹿から蛙までが命を授けられた神の使いで命のある生き物であれば木にも神が宿る事が基本です。
生き物でなくても神は何にでも宿るので、下駄や傘、提灯でも命があるかの様に意思を持ったりします。
それ故に命の無くなった物には妙なリアリティがあります。
江本 創 の創作する幻獣は標本にする事により鑑賞者にいかにも実在する生き物であった事だろうと感じさせ、その生態に思いを馳せる事が自然な芸術鑑賞になります。
そして、鑑賞者の想像を助けるヒントとして、標本に成った生き物の生物としての科学的な根拠を表現する造形だけでは無くて、個体を見つけたバックグラウンドも匂わせて生き物好きの人々を虜にしてしまいます。
創造の生き物の世界をさまよう想像力を持つ私達鑑賞者自身、SDGsが叫ばれる現代社会で自然と人類との関わりとその関係の渦中に生きているので、 江本 創 の作品達の生態をどんな風に人々の想像が変化させていくのかは、現代の自然環境の変化をも考えさせられるのではないでしょうか。